当医院の院長が取材を受けました。

地域の診療所を特集されている日本医療企画さんの「眼科と経営 NO153」に当医院の院長がインタビューを受けました。

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スタッフ同士が交流するしかけをつくったことで離職率が下がり職場の雰囲気が変わりました

『開院直後は人間関係がギスギス。離職が相次ぐ非常事態に』

あゆみ歯科クリニック(京都府八幡市)の福原隆久院長は、歯科診療のハードルを下げたいとカフェのような空間に完全バリアフリー、全室個室の診察室を備えて2009年12月に開院しました。
「勤務医時代に、『歯科=怖い、痛い』というイメージがあるために歯科から足が遠のき、歯や歯茎の状態が悪化してしまう人を多く見てきました。相談や説明が隣の診察室にいる人に聞こえてしまうことを嫌がったり、『子どもが泣くかもしれないから』と来院を躊躇したりする患者さんもいます。そんな経験から、受診のハードルを下げたいと思ったのです」
明るく優しい雰囲気を演出するため、「あふれる笑顔をすべての人に」をモットーに掲げ、建物だけではなく、スタッフや院長自身も笑顔を心がけた診療を目指して開院準備をスタート。事前に225名の予約を受け付け、いよいよ明日が開院というタイミングで問題が起きました。
「事務と歯科衛生士をあわせて3名のスタッフを採用したのですが、2名がインフルエンザに罹患。初日から1週間は、院長である私とスタッフ1名で電話対応から診察後の会計業務や清掃までを担当しなくていけない状態になったのです。笑顔の診療とはほど遠い状態でした」
4人で分担していた仕事を2名で分担することになったことから、診察終了後も連日残業が続きました。どうにか1週間を乗り切ったものの、お互いに疲弊し、休んでいたスタッフとの間には溝が生まれ、職場の雰囲気がギスギスしていたと当時を振り返ります。その後、開院から1カ月たたないうちに2名が退職しました。
「スタッフとの人間関係に悩み、補充採用もしなくてはならず、日々の診療は待ってくれず、本当にギリギリの精神状態でした。人員は補充したのですが、私とスタッフ3名程度の小さなクリニックなのに、各自バラバラに仕事をしているようなまとまりがない状態が続きました」
そこで、福原院長はA3用紙3枚のマニュアルをしなくていけない状態になったのです。笑顔の診療
とはほど遠い状態でした」
4人で分担していた仕事を2名で分担することになったことから、診察終了後も連日残業が続きました。どうにか1週間を乗り切ったものの、お互いに疲弊し、休んでいたスタッフとの間には溝が生まれ、職場の雰囲気がギスギスしていたと当時を振り返ります。その後、開院から1カ月たたないうちに2名が退職しました。
「スタッフとの人間関係に悩み、補充採用もしなくてはならず、日々の診療は待ってくれず、本当にギリギリの精神状態でした。人員は補充したのですが、私とスタッフ3名程度の小さなクリニックなのに、各自バラバラに仕事をしているようなまとまりがない状態が続きました」
そこで、福原院長はA3用紙3枚のマニュアルを作成しました。予約受付の電話対応や患者さんの誘導、会計時の確認事項などをまとめた簡単なものでしたが、このマニュアル導入を機に少しずつまとまりを感じられるようになったと言います。
「少人数なのだから、その都度、口頭で気になるところを指摘したり、考えを共有したりすればいいと思っていたのですが、現実は指摘しても受け入れてもらえなかったり、ぶつかり合ったりすることが多かったんです。マニュアルを作ったことで共通認識が生まれ、マニュアルに沿っていない対応は改めようという動きが出てきました。それに、業務の流れが
見えるようになったことで、事務職と歯科衛生士、医師の診療に至るまでの連携がスムーズになり、各自バラバラに仕事をするのではなく、連携しながら仕事をする流れに変わっていきました」
そして、開院から5カ月後、1人のスタッフ(現在、統括主任を務める)の入社を機に、職場の雰囲気はよくなっていきました。
「明るく、前向きで、クリニックをよくするための提案をしてくれる人材を採用できたことが転機になりました。人間関係がスムーズになり、スタッフから業務改善の提案がたくさん出てくるようになりました。いい提案は実践しようとどんどん取り入れた結果、A3用紙
3枚だったマニュアルは電話帳のように厚くなり、当院独自のノウハウが詰まった1冊に進化しています」

 

『普段は顔を合わせないスタッフ同士があえて交流する機会を創出』

現在、同院には11人の歯科医師、18人の歯科衛生士をはじめ、事務職や訪問歯科ドライバーなど69名のスタッフが在籍しています。組織が大きくなっても、前向きな雰囲気を維持するための努力を重ねてきました。
「同じ職場でも、シフトが違ったり、職務上の接点がなかったりするとほとんど会話もなく、院内の雰囲気もよそよそしくなります。そこで、スタッフを職種や年代に関係なく無作為に5つのチームに分け、『キャンセルを防ぐには』『清掃について』などの課題について話し合うグループワークを月1回開催しています」
話し合うだけではなく、改善のための実践を行い、終礼で報告。活動を継続することで、チームワークが強化されています。
朝礼後に全員で声を掛け合ってハイタッチをしてから仕事をスタートさせ、終礼では日替わりで司会を担当するスタッフが「この日、一番輝いていたスタッフ」をその理由とともに発表して仕事を終える習慣は、スタッフの提案をきっかけに始まりました。
「職場は1日8時間過ごす場所なので、気持ちよく仕事を始めて終える習慣は大切にしたいと思っています。互いの仕事を尊重し、認め合う風土が醸成されてくると、ミスがあっても補い合ったり、フォローしてもらうと『ありがとう』という言葉が素直に出てきたり、どんどん人間関係が良くなっていきました」
このほか、月に1度、当日出勤しているスタッフ全員が飲食店で昼食を食べながらコミュニケーションを図るランチミーティングを実施。年に一度の社員旅行で宿泊し、親睦を深める機会もあります。7年前からは、年に1度「あゆみ祭り」と題した子ども向け職業体験イベントを行い、チームで出し物やコーナーづくりを企画・運営しています。
「開業直後の苦い経験があるからこそ、チームワークの大切さは身に染みています。ただ仲が良いだけではなく、互いの仕事を尊重し合い、一人ひとりが売り上げや利益などの数字を意識して主体的に仕事に取り組み、職業人として連携し合えるような人間関係を、これからも維持向上させていきたいと思っています」